今回はライターとして活躍している「いしかわゆき」さんの書かれた、「ポンコツなわたしで、生きていく。」を解説していきます。
この本は一言でいうと、「ポンコツな自分を受け入れ、自分らしく生きる方法」を教えてくれる本だ。
著者は大学を卒業したあとに社会で働き始めたが、重度のADHDのため、朝はなかなか起きられないし、コミュ障だし、おまけに毎日決まったことをやるのも苦痛なため、どれだけ頑張っても1年半で会社をやめてしまうというポンコツっぷりだった。
ここで普通なら「自分のダメなところを直そう」と考えたり、「死んでも3年間は会社をやめないぞ」と決心するのかもしれないが、著者はそれを突っぱねた。
つまり、ポンコツな自分のまま生きていくと腹を決めたのだ。
そうやって自分が楽だと思う方向へ流れていった結果、今はフリーランスのライターになり、朝が苦手だから昼にのっそりと起きてパジャマのまま机に座って記事を書いたり、夜に漫画を読みながら寝落ちするなど、悠々自適な生活をしている。
この本を通して、「ありのままの自分を受け入れ、自分らしく生きる方法」を学んでいこう。
ポンコツは性格みたいなもので決して治せるものではない
この本では「普通の人が当たり前にできていることが、なんで自分にはできないんだろうと思ったらポンコツのはじまりだ」と書かれている。
この本の著者も重度のADHDのため、笑顔で接客ができなかったり、朝起きれなかったり、なかなか上手く会話ができなかったりして苦労している。
なんとか自分のポンコツな部分を治そうと奮闘したこともあったが、無理をして体調を崩したりして、結局ポンコツな自分は治らなかったそうだ。
その経験からこの本には、「ポンコツは性格みたいなもので決して治せるものではない」と書かれている。
まずはポンコツな自分を受け入れる
それでは、ポンコツの自分になってしまったら、この社会ではもがき苦しむしかないのかといったらそれは違う。
大事なのはどうせポンコツな部分が治せないなら、「ポンコツでも許される環境に身を置くこと」が大事だ。
実際に著者は朝早く起きなくていいし、実際に顔を合わせなくてもいい仕事につくしかなかった。それがフリーランスのライターだ。
もしかしたらあなたは接客が苦手なのに接客をする仕事についているのではないだろうか?
満員電車が酷くストレスなのに、毎日満員電車に揺られているのではないだろうか?
もしそうなら息苦しくて当たり前だ。
大事なのは、自分のポンコツさを憎み、それを克服しようとすることではなく、自分のポンコツさを受け入れることだ。
置かれた場所で咲かなくていい
もしあなたが今の居場所で息苦しさを感じているならば、思い切って環境を変えてみよう。
活躍できるかどうかは、ほぼ環境で決まるといっていいからだ。
実際にこの著者は大学生の頃に飲食店で働いていたんだが、朝は起きられないしレシピも覚えられなくて、先輩もあきれるほどのポンコツだった。
しかし、その職場を辞めて事務のアルバイトに転向してからは「めちゃくちゃ優秀だね!」と言われるようになったそうだ。
その仕事は、マニュアルを見ながら文章を打ち込めばいいので、忘れっぽい著者でもできたし、人と話す事も特になく淡々と作業をしていればよかった。
おまけにずっとパソコンを触ってきていたので、タイピングも他の人より早かった。
これは散々「仕事ができない」と言われてきた著者には革命的な出来事だったのだ。
環境を変えれば人生が変わる
いわゆるポンコツと言われる人たちは、その環境では「仕事ができない」というだけで、環境が変わればいくらでも活躍できる。
ここでいう環境とは「人」「場所」「時間」のことだ。
また、ヒトカゲが水中でゼニガメと戦っても絶対に勝てないのと一緒で、自分の居る場所を変えてみると、とたんに上手くいくケースが多いんだ。
つまり、自分を活かせる環境に身をおけば活躍することができる。シンプルにポンコツはポンコツのまま、環境を変えればいいんだ。
自分の弱みにウジウジと悩んで克服しようとするのではなく、全力で環境を変えることだ。
①付き合う人を変えてみる
ポケモンで例えると、炎タイプのヒトカゲが、水タイプのゼニガメと戦ったら分が悪いのと一緒で、付き合う人にも相性がある。
一緒にいると心地よいなと感じる人がいれば、一緒の空間にいるだけでイライラする人もいたりする。
ネガティブな友達と付き合っていれば、自分も引きずられてネガティブになるし、明るい人と付き合っていれば、自分も明るくなっていく。
筋トレが好きな友達と一緒にいれば筋トレに興味を持ち始めるし、マルチ商法をやっていればマルチに興味を持ってしまう。
まず、自分と似ていて「この人みたいになってみたい」と思えるような人と付き合うのがいいだろう。
逆に悪い影響を受けていると感じる人付き合いを少しずつ減らしていこう。
②場所を変えてみる
ヒトカゲが水中でゼニガメと戦っても絶対に勝てないのと一緒で、自分の居る場所を変えてみると、とたんに上手くいくケースが多くなる。
自分のいる環境が絶望的に悪いのに、その中でどれだけ努力をしても報われることはないんだ。
それよりも自分のいる場所を変えてみることで、問題を解決するのには効果的なんだ。
もし、あなたが職場で居心地の悪さを感じているのであれば、部署を変えてもらえないか上司に相談してみたり、思い切って転職をすることも有効な手段だろう。
③時間配分を変えてみる
次は時間だ。これも今まで何となく時間を使ってきたのなら、1日1時間でもいいから意識して勉強をしたり、新しい情報を取りにいって知識を増やしてみるといいだろう。
たくさんのビジネス書で推奨されているように「朝活」を試してみるのもいいだろう。
また、日頃から残業に追われている人も、「夜8時のドラマを絶対に見る」や「家族と一緒に食事をする」という目標を持って仕事に臨めば、案外残業をしなくても仕事が片付いたりするんだ。
何となく自分の人生が息苦しいなと感じている時は、何となく時間を消費するのではなく、時間に「区切り」をつけてみると生活にハリが出てくるだろう。
知ることは選択肢を増やす事
もしまだ自分に合う環境がどういうものなのかわからないのなら、まずは色んなことを知って選択肢を増やすことだ。
ぶっちゃけ、あなたに合う環境はあなたにしかわからない。
なぜなら、あなたが何が苦手で何が好きなのかは、あなたにしかわからないからだ。
だから、もし今自分にあう環境がかわらないのなら、とにかく色々な人に会ってみたり、SNSで魅力的な人を探してみるといい。
ピンときた本を読んでみてもいい。
そうやって自分と似ていて
「あ、この人いいな」
「こんな生活いいな」
「俺にもできるかも」
と思えるようなワクワクする対象を探すのだ。
フリーランスという働き方
実際に著者は会社員の頃に「会社と言えと大学時代の友達」の3つしか居場所がなかった。
だがある日、社会人コミュニティに入ってはじめて知ったのが「フリーランス」だったのだ。
そのコミュニティにいたフリーランス達は、会社に行っていないのに高い報酬と充実感を得て働いていた。
しかも彼らは一流大学に行っていたわけでもないし、特別な資格を持っているわけでもなかった。
ごくごく身近な人たちがフリーランスとして働いていた。
その事実は、自分の働き方の選択肢の一つに「フリーランス」を加えるのに十分だったわけだ。
そこからフリーランスという生き方を強く意識し始め、最終的にはフリーランスのライターを仕事にすることになった。
ポンコツこそ誰かに頼ろう
いうまでもなくポンコツは一般的な人よりもできないことが多い。
そのため自分ではできない部分を補うために、誰かに頼ることは必須になる。
「頼る」と聞くと弱くて情けない感じがするかもしれないが、頼られた方は結構嬉しかったりするものなんだ。
なぜなら、みんな得意なことと不得意なことは違うからだ。
あなたの苦手は誰かの得意なこと
自分の苦手で嫌なことでも、他人からしたら得意で好きな事もある。
自分が苦手なことは積極的に誰かに頼るべきなのだ。
特に自分がポンコツだと思うのなら、なおさら1人で全てをやるのは無謀だと言っていいだろう。
中には頼っても断られたり、嫌がられたりする場合があるかもしれないが、それはそれで構わない。
合わなければ自然と離れていくだけだ。
そこで篩にかけられて、最後には自分に合う人だけが残るはずだ。
苦手な事を避けることで自分の強みが見えてくる
この社会ではもちろん、自分の得意な事や強みを活かした方がいい。
強みとは自分が無意識にやっていることだったり、そこまで頑張ってもいないのに他人から「すごいね」と褒められることだ。
わかりやすいとことでいうと、身長が高いというだけでバスケットでスタメンになっていたやつが学生時代にいただろう。
あんな感じで、自分では頑張っていないのにプログラミングができちゃうとか、絵がかけるとか歌がうまいとか、ゲームがうまいとか、大食いができるとか、みんなを笑わせることができるとかになる。
もしそういうものが見当たらないのなら、まずは自分の「嫌いなところ」や「苦手なこと」「欠点」を書き出してみて、それらを避けるようにすることだ。
自分の苦手な事や苦手な事はわかりやすいだろう。
人前が苦手なら人の前に立たない仕事、そして喋るのが苦手なら文章でコミュニケーションをとる仕事、力仕事が苦手ならパソコンを使うデスクワークがいいかもしれない。
強いストレスを感じたり、冷や汗をかくような仕事は基本的には自分に合っていない。
そうやって自分のどうしても直せない苦手な事や嫌な事を避けていくと、結果として「心地いい環境」と「自分の強み」が見えてくる。
まずは「嫌いなところ」や「苦手な事」「欠点」を書き出してみて、それらを避けるようにすることだ。
それが、あなたが力を発揮できる場所の可能性が高いぞ。
やめなければいつかなんとかなる
自分のどうしても直せない苦手なことや、いやな事を避けていってたどり着いた仕事があるのなら、あとはその仕事を続けることだ。
何事も継続しなければものにならない。
実際にこの著者は「今こうしてライターになれているのは、努力したというよりも、ただ文章を書くことをやめなかったからだ」と語っている。
結果を求めずにのんびりと今やっていることを続けてみるのがいいだろう。
結果ばかり求めると、ついつい近道を探したり、ズルをしたくなる。
それに、すぐに結果がでないと「俺はダメな奴だ」と落胆することになる。
そうなると続けることはできない。
続けるためには完璧主義にならないこと
さっきも言った通り、何事も継続しなければものにならない。継続は力なりだ。
この継続を最も邪魔するのが「完璧主義」なんだ。最大の敵は自分だ。
完璧主義になってしまうと、100点に仕上げるために下準備が整わないとなかなか着手しなくなるし、100点以外のものは全てダメだと考えて、せっかく作った記事を公開するのをやめてしまう。
そうして完ぺきではないものを作れなかった自分を「才能がない」とせめて、自己肯定感が下がってしまうという地獄のループに突入してしまうのだ。
完璧主義から脱却する方法
まずは頑張って「6割くらいの完成度で出す練習」をしてみることだ。
著者は会社員の頃に最寄駅から歩いて10分の帰り道で文章を書いていた。
たとえ家に着いたときに良いオチや結論が出ていなくても、とにかく家についた時点で書くのを終わりにして、「エイッ」っと記事を公開してしまうのだ。
そうやって自分の中で6割くらいの出来のモノを出す練習をしていく。
以外にも自分の中で6割くらいのものでも高評価が得られたりする。
そうすると「ああ、このくらいの完成度でもいいんだな」と実感できるようになっていくだろう。
100点のものだけ公開しようとすると、毎日続けることは難しい。
大事なのは100点のものを出す事ではなく、60点でもいいから毎日のんびりと今やっていることを続けてみることだ。
世界は思い込みでできている
少し昔まで、「女は早く結婚して家庭に入り、子どもを産むもの」、だったり「同性で手をつないで歩いていたら気持ち悪い」なんて当たり前の世論だった。
今となっては180度逆だ。
こんなこと公然の場でいったら袋叩きに合うは火を見るよりも明らかだ。
つまり、ちょっと前の常識は今の非常識だし、今の常識は少し先の未来には非常識になっていたって驚くようなことじゃないんだ。
こうした状況に対して著者は、「世界は思い込みでできている。そう思うと何だか生きるのがラクになる。」と表現しているんだ。
だから、ポンコツであることは悪いことじゃないのだから、それを受け入れることで生きることがラクに思えるようになるんだ。
ポンコツ=悪ではない
最後は、「ポンコツ=悪ではない」だ。
ということで今までポンコツさを受け入れて生きていく方法を具体的に説明してきた。
大体の場合、ポンコツとは少数派というだけだ。
ポンコツ=悪というわけではない。
日本で遅刻がダメだとみなされるのは、ほとんどの社会人が時間を守れるからだ。
だが、外国では遅刻が普通の国もある。
そうなると「普通」の定義が変わってくる。
結局のところ多いか少ないかの問題なのだ。
だから自分のポンコツなところは、ただ少数なだけだと割り切って生きると気持ちが楽になるだろう。
好きな事だけして生きてみる
人生にどれだけ欠点があろうが、楽しく生きている方が得だ。
とにかく「ほかの人がどうかは知らないけど、自分はこうなんだ。これでいいんだ。」と、胸を張れるになると、人生を前向きに生きることができるようになるだろう。
中には「みんなが好き勝手に生きてたら社会が回らない」という風に言う人がいるかもしれないが、そんなことを心配する必要は全くない。
あなたが苦手にしていることは誰が得意なことだ。
まずは「やりたくないことをやめて」、 ガマンがいっぱいの人生から解放されよう。
自分勝手に生きてみても意外と大丈夫なんだと考えて、まずは自分を幸せにしてみよう。
書評
この本を紹介しようと思ったのは、まさに自分がポンコツだったからだ。
ポンコツだったというより、現在進行形で自分のポンコツっぷりは治っていない。
誰かに指図されるのは嫌いだし、自分の納得していない事でも仕事だからと割り切ることがストレスだ。だから、組織人としてはかなりのポンコツだと自覚している。
そのせいで色々大変な思いをしてきたし、そうなるのが当然だったと思う。
俺を注意してきた人は、俺のポンコツをどうにか直そうとしてくれていたんだろうけど、結果として俺の性格は1ミリも変わらなかったと思う。
そんな中でも、人事異動で関わる人が変わった結果、今までのポンコツっぷりが嘘みたいに生きるのが簡単になった。息をするのが軽くなったんだ。
自分の性格を変えることは多分誰でも無理だと思うから、環境を変えるか、付き合う人を変えるのが得策なんだ。
自分の人生は誰かのために生きているわけじゃない。無理に環境に合わせなくていい。環境を自分に合わせるのが幸せに生きる秘訣なんだ。
この本に出合ったのは、俺の環境が変わった後の事だったが、とても共感できる内容だったので、どうして自分はこんなにもポンコツなんだろうと悩んでいる人は、是非手に取ってみてほしい。