今回は、アメリカ合衆国の投資家・実業家で金融教育の第一人者である「ロバート・キヨサキ」先生の書かれた、「金持ち父さん貧乏父さん」について解説をしていきたいと思います。
この本は一言でいうと、「お金持ちになる方法」を教えてくれる本だ。
著者のロバート先生は、日系アメリカ人としてハワイで生まれ、大学卒業後は海兵隊に従事した後、事業を起こし、不動産業などで成功を収めた。
その後は自身の経験から金融リテラシーの大切さを広めており、多数の億万長者を輩出していることから「金持ち養成学校の先生」と呼ばれている。
今回紹介する著書は、たくさんの経営者やビジネスマンなどから、若い内に読んでおいた方が良い書籍として推薦されている。
この本を通して、アメリカの大富豪からお金持ちになる秘訣についてを学んでいこう。
お金持ちになるには資産を買わなければならない
お金持ちになりたかれば、まず「資産」と「負債」の違いについて知らなければならない。
「資産」とは一言で言うと、毎月自分のポケットにお金を入れてくれるもののことだ。
逆に「負債」とは毎月自分のポケットからお金を盗んでいくもののことだ。
資産とは
具体的に資産とは株や投資信託、債券、不動産の家賃収入のことです。
ほかにも著作権や本の印税、そして自分のビジネスなどのことを指します。
資産の例
- 不動産
- 株式
- 投資信託
- ビジネス
- 音楽や書籍などの著作権
この資産を持っていれば自分が働かなくても毎月自分のポケットにお金を運び込んでくれます。
いわゆる「不労所得」っていうやつです。
負債とは
逆に負債とは毎月自分のポケットからお金を盗んでいくもののことだ。
具体的には「家」と「車」だ。
負債の例
- 持ち家
- 車
- 教育ローン
- リボ払い
おいちょっと待てジェームス、家と車がなんで負債なんだ。家も車も価値があるから「資産」だろ。ふざけたことぬかすな。
そう思うのも無理もありません。確かに家も車もそれ自体には価値があります。
でも、ここで負債の定義をもう一度見てみてください。
家も車も持っているだけでお金が入ってきますか?入ってきませんよね。
むしろ家を買うと住宅ローンで借りた分の金利の返済が毎月あるでしょ、固定資産税も最低10万円は毎年かかります、火災保険料や、家が壊れた時に備えて修繕費も積み立てておかなければなりません。
車の場合もガソリン代や駐車場代、自動車保険料、2年に1回は車検もございます。
そう、こいつらは全然資産なんかじゃないんです。持っているだけで毎月数万円をポケットから盗んでいく立派な負債なんです。
でも我々のような貧乏人はこいつらを資産と勘違いして買ってしまっているんです。だから我々はいつまで経ってもお金持ちになることはできないんです。
この真理がこの本で最も重要な部分になります。
あなたの家にもございませんか?ポケットからお金を盗んでいく不届き物が。
ラットレース
そしてこれらの負債を手に入れた時点で、私たちはラットレースに巻き込まれることになります。
ラットレースっていうのは、ケージの中で回し車の中でクルクル回っているネズミのことなんだけど、働いても働いてもローンの返済で一向に資産が貯まらない状態のことを指しています。
つまり私たちは負債を買ってしまった事で、このネズミと同じように定年するまで、いや、定年してからもずーっと働き続けなければならないんです。
嫌だ、疲れたと言っても辞めることは許されません。なぜなら、こんなにもたくさんの負債を抱えてしまっているからです。
ちょっと待てジェームス、東京に住んでいるならともかく、田舎暮らしに車は必須や、車が無い生活なんて想像できないぞっていう気持ちよくわかります。
俺もド田舎に住んでいます。
でも、車、意外となくても大丈夫なんじゃないんですか?
家族がいるなら流石にキツイけど、少なくとも一人暮らしの場合では車はなくても大丈夫です。
自転車と原付バイクがあればまったく問題ございません。
今どきあんまりいないと思うけど、デートするのに車が必要だっていう人がいるかもしれない。でも、そもそも電車で出かければいいし、どうしても車が必要なのであればその時だけちょっといい車をレンタカーで借りれば大丈夫です。
だから車はなくても大丈夫なんです。車を買う代わりに株を買ったり勉強のための本を買ってください。
職業は4つに分かれている
ジェームス、もうわかった、お腹いっぱいや。金持ちになる方法を早く教えてくれっていう気持ちよくわかります。
ここからはどんな職業の人たちがお金持ちになることができるのかについて解説をしていく。
従業員・専門家・経営者・投資家
この図を見てほしい。この世の中の職業はこの4つに分類することができます。
「従業員・専門家・経営者・投資家」です。
全ての仕事はこの4つのどれかに属しています。
従業員っていうのは我々のようなサラリーマンやアルバイトの事を指します。これが大多数です。
専門家っていうのは医者や弁護士なんかの高いスキルを持った人たちの事です。この人たちは従業員よりも給料が高いことが多いです。
一方で経営者は社長やそのビジネスのオーナーのことです。従業員や専門家を雇う側の人達の事です。
そして投資家は経営者が行っているビジネスに対してお金を出して、その見返りに利益の一部を得ている人たちになります。
そして、この表の左側に属している従業員・専門家である限りお金持ちになることはできません。これが真実です。
高い給料を貰っている医者であっても経営者にまで上り詰めなければお金持ちになることはできないんです。
専門家であっても自分が働かなければお金を得ることはできません。
対してこの表の右側に属している人たちは自分が働かなくても毎月お金がポケットに入ってくるんです。この人たちはビジネスと言う「資産」を手に入れている人たちなんです。
学校ではお金持ちになる方法を教えてくれない
そして、皆さんに残念なお知らせがあります。
学校ではこの表の右側になる方法を教えてくれません。
学校で教えてくれるのは、社会で働くノウハウや、専門的なスキルだけなんです。
つまり従業員や専門家になる方法しか教えてくれないんです。
会社という組織の中で働くスキルしか教えてくれないんです。
だから私たちが貧乏人でありお金持ちになることができないのは当たり前のことなんです。
誰もこの表の右側になる方法を教えてくれなかったからです。
だから、お金持ちになりたければ自分でお金の勉強をして右側にいく努力をしなければならないんです。
自分のビジネスを見つける
繰り返しにはなるんだけど、お金持ちになるには経営者か投資者になるしかありません。
この2つの職業になる方法について俺なりの見解を交えながら解説していきたいと思います。
経営者になる方法
まずは経営者です。
経営者ときくと会社を辞めて起業するっていうイメージで、ハードルがすごく高そうに聞こえるかもしれないけど、そんなことはありません。
具体的にはまず副業を始めてください。起業する必要はございません。それが初めの第一歩です。
ただし、副業といってもコンビニバイトのように隙間時間でできるお手軽バイトをするわけではございません。それでは結局従業員を二か所でやっているだけに過ぎないので、経営者になることはできない。
大切なのは誰かに雇われて行うのではなく、自分のビジネスを持つことだ。
例えばユーチューブで動画配信をして広告収入を得てもいいし、家電を安く仕入れてアマゾンやメルカリで販売をしても構いません。大事なのは誰かに雇われてお金を得るのではなく、自分の力だけでまずは1円を稼ぐことなんです。それが経営者になる第一歩なんです。
ちょっと待てジェームス。そんなことやっている時間なんてあるか。それに1円稼いだところでお金持ちになんかなれるわけないやろって思うかもしれない。
だから、会社の仕事は定時で上がるようにしてください。会社でいくら残業をしてもお金持ちになることはできません。
そしてその削りだした時間を自分の人生を変えるために使うんです。
最初は1円しか稼ぐことができないかもしれない、もしかしたら1円も稼ぐことができないまま終わるかもしれない、失敗してしまうかもしれない。でも、それでいいんです。成功を勝ち取るためには失敗という経験を積まないといけないからです。
もし1円も稼ぐことができなかったとしても、あなたはその分野で稼ぐ才能がないということがわかった訳だし、あなたがその副業で経験したことは必ず別のことで活かすことができます。失敗を恐れて何もしないことが最大のリスクなんです。だから最初はお金のために働くのではなく、この経験と言う学びを得るために時間を作って実践しましょうということになります。
投資家になる方法
次に投資家になる方法だが、これについては俺個人的な意見になります。
投資家ってきくと、たくさんの資産を持ってお金を転がして利益を得ている人っていうイメージがあると思うんだけど、我々のようなお金がない貧乏人でも投資家になることはできます。
これについてはもう答えが出ているんだけど、株を買ってください。
株式投資って聞くとギャンブルのように聞こえると思うんだけど、例えば日本を代表する自動車メーカートヨタの株を買うとどういうことが起こるのかについて説明します。
トヨタって毎年10兆円近くも売り上げがある凄い会社で、純利益一兆円あるモンスター企業なんだけど、そこの株式を買うことはつまりこの一兆円の純利益の分け前を受け取る権利を手に入れることになります。これは我々のような貧乏人でも金持ちでも同じです。
このトヨタの株を持っているだけで、実際に我々は車を作ったり販売をしたりしなくても、トヨタが稼いできてくれた利益の一部を受け取ることができるんです。つまり、何もしなくてもポケットにお金を入れてくれるもの「資産」を手に入れることができるんです。
もちろんトヨタの経営が今後悪くなって株価が下がって損をするっていうことも十分あるんだけど、そういったリスクに備えた投資方法としてインデックス投資というものがあります。インデックス投資についてはまた別の動画で解説をしていきたいと思います。
つまり、我々のような貧乏人でも、普段仕事を頑張って家や車といった負債を買わずに淡々とこの「資産」を買い続けることで、投資家の一因になることができるんです。これが実践できればあなたは晴れて「お金持ち」の一因になることができるでしょう。
お金を働かせる金持ちとお金のために働く貧乏人
まとめになるんだけど、この本の内容で一番大切なことは、お金持ちになるためには従業員や専門家でいるのではなく、経営者や投資家になって資産を手に入れましょうということになります。
従業員や専門家のままでもそれなりの収入を得ることができるかもしれないんだけど、そうやって人生のステージが上がるごとに支出の額もドンドン増えていくことになるんです。
結婚をしたら1kのアパートじゃ狭いからもっと広い場所に引っ越さなければならない、出産したから一戸建てが欲しい、30歳過ぎて軽自動車なんて恥ずかしいからカッコイイSUVに乗りたい、部下に馬鹿にされないように高級時計を身につけたい。
こんなことをやっていたら一生お金持ちになることはできないんです。
でも、こういう生き方を否定する気は毛頭ございません。これはこれで幸せな生き方でしょう。でも、あなたがこういう生き方ではなく、お金持ちになってもっと人生を豊かにしたいと考えているなら、まずは自分が今持っている負債を急ぎ清算して、資産を買うようにしてください。
そして、会社は定時で帰って、その削りだした時間はあなたの人生を変えることに使ってください。というのがこの本の要旨になります。
書評
金持ち父さんの6つの教えからは外れるが、個人的に大切だと思った言葉がコレだ。
「多くの場合、勝利は敗北のあとにやってくる。そして、一度も損せずに金持ちになってという人にもお目にかかったことがない。たいていの場合、人が金銭的な成功を手に入れられない最大の原因は、金持ちになる喜びよりも損をする苦しみの方を考えてばかりいるからだ。」
つまり、成功は失敗を経てでないと訪れないし、リスクをとったものでなければ金持ちになることはできないということだ。
これは、失敗しろと言っているのではなく、「失敗することをどう考えているのかでその後の人生が決まる」ということであり、失敗を恐れる必要なんてないんだということだ。
失敗したところで失うものはたかがしれている。
例えば、YouTuberになりたいと思っていても、「馬鹿にされたら」とか「誰も見てくれなかったら」とか、理由をつけて何もできていない時。
もしそうなったとしても一体あなたは何を失うのだろうか。
それよりも、「馬鹿にされた」ことを「反応があった」ととらえ、誰も見てくれなかった原因を考えたものに成功が訪れるのだ。
僕たちは人生につつきまわされている
更に本書の中では金持ち父さんが筆者にこう諭している。
「人間には二種類ある。一つは人生につつきまわされても、ただそのままにしておく人たち。もう一つは怒ってつつき返す人だ。そして、たいていの人はつつき返す相手を間違える。上司や仕事、旦那や奥さんだ。」
「人生につつきまわされること」はすなわち「失敗すること」だ。
私たちは失敗した際に、大抵それをそのままにしておくか、失敗の責任を他人になすりつけたり、誰かに腹いせしたりしている。
そうしてしまう原因を金持ち父さんは「みんな人生が自分をつついているとは知らないから」と指摘している。
人生がせっかくあなたに気が付いてもらうために「つついている」のに、ほとんどの人はそれに気が付いていないということなんだ。
そして、金持ちになる人は「人生につつかれる」ことを喜んで受け入れる。
ぶっちゃけ怪しい
本書を読んで、「株式投資」や「不動産投資」を始めたいと思う人がいると思うが、ちょっと待ってほしい。
金持ち父さんは金持ちになる秘訣として「金融リテラシー」を高めることが大事だと言っていた。
美味しい話には裏がある
本書では年利が数十%を超えるような「美味しい儲け話」がゴロゴロ転がっていると紹介している。
これは、マネーインテリジェンスが高ければそれを見つけることができるが、低ければそれを認識することすらできないということを伝えるために、誇張して書かれているのだと思う。
しかし、投資の神様と呼ばれるウォーレンバフェットも、投資の生涯リターンは20%程度なのだから、あまりにも高いリターンのもうけ話には、裏があると思って間違いない。
確かに、私たちの周りには「美味しい儲け話」がゴロゴロ転がっているのかもしれないが、それが本当にそうなのか、そしてそれを活かすことが出来るのは金融リテラシーが高いものだけだ。
普段、料理をしたことが無い人がスーパーに行って、豆腐が1丁300円で売っていても、それが安いのかどうかが判断つかないのと一緒だ。
もっと言うと、豆腐を買うにはどこに行けばいいのかすらわからないということだ。
知らなければ判断をすることすらできないのだ。
金融教育が大事
本著のプロローグの中で、著者が貧乏父さんに「どうやったらお金持ちになれるか?」質問した際の回答は、「自分で考えてごらん」というものだった。
著者はこの回答を「俺にはわからない、これで話は終わりだ」という意味にとった。
しかし、同様の質問を金持ち父さんにした場合の回答も「どうやったらそれを手に入れられるか?」というものだ。
金持ち父さんも貧乏父さんも、著者の質問に対する回答は一緒なのに、結果としては全く反対になるというのが肝だ。
ちなみに、貧乏父さんの回答を鵜呑みにして考えた筆者は、友人のマイク(金持ち父さんの息子)と一緒に不燃ごみをかき集めて溶かし、5セント硬貨を製造するという案を思いつき、実行した。
結果として貧乏父さんから怒られることになるのだが、この発案と行動を後に金持ち父さんは「惜しい」と評価している。
これは、自分で考えてお金を生み出したアイデアそのものが、金持ちになるセンスがあるとされたんだ。
感想
本書は、小難しい金融の理論について面白おかしく書かれているため、非常に読みやすかった。
本書において一番衝撃を受けた言葉は、「学校で金持ちになる方法は教えてくれない」だ。
僕たちは、普段から金持ちになりたいと思い、いつか金持ちになると漠然と思いながら実のところ「経営者」、「国(税)」、「銀行(利子)」のために働いているだけなんだと知った時、なんとも言えないやるせない気持ちになった。
せっかくの自分の人生なんだから、自分自身のために働きたいなと強く思わせてくれた良書だ。
是非手に取って読んでみてほしい。