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ライフハック

【私人逮捕】泥棒を捕まえて100万円ゲットした話

最近世の中を騒がしたワードの一つが私人逮捕だ。

 

「世直し系ユーチューバー」とか呼ばれ、過激な動画投稿を繰り返して広告収入を稼ぐ手法に物議を醸したが、かくいう俺も私人逮捕をした経験がある。

 

そんな自分の経験を元にリアルな私人逮捕の中身について解説する。

 

泥棒侵入

秋も深まった10月下旬の日曜日。社会人野球から帰ってきた俺は、風呂に入り、すぐに疲れて眠ってしまった。

  

夕方になり、すっかり日が落ちて暗くなった中。一緒に横で寝ていた妻がむくりと起きた。

 

「何か音がする」

  

寝ぼけた頭で聞いた俺は、冷蔵庫のモーター音か何かじゃないかと思った。

 

しかし、寝室の開いたドアの向こう側でスマートフォンのライトが低い位置でゆっくりとうごめいているのを目撃した。

 

容疑者発見

とっさに「どろぼう!」と大声で叫ぶと、ライトが素早く動き、大きな足音が聞こえた。

 

布団から跳ね起きた俺は、とっさに光の跡を追った。

 

すると、リビングの窓が開いていて、その向こうにフェンスを乗り越えて逃走する黒い人影が目に映った。

 

俺は着の身着のままの姿で、リビングを飛び出し、フェンスを乗り越えて泥棒の跡を追った。

  

逃走・追跡

フェンスを乗り越えた俺は、泥棒が逃げた方向を見ると、ダッシュで逃げる人影を視認した。

 

あたりは夕闇に包まれていたが、間一髪泥棒の姿を見逃さなかった。

 

「泥棒ーー!」と叫びながら俺は夢中で泥棒を追いかけた。

 

夕暮れの道路に人影はまばらだったが、誰かが泥棒を捕まえてくれるんじゃないかと期待したが、皆キョトンとした顔で泥棒を見送った。「ガラガラ」とどこかで家の窓が開く音がする。

 

俺は泥棒との距離をグングン詰め、家から300mぐらいの所で犯人の肩に手を触れた。 

 

犯人確保

「待てよコラァ!」と叫びながら犯人に手をかけると、泥棒は観念したようにあっさりと脱力して、「もう逃げません」と言った。

 

そんな言葉を信じられるはずもなく、また逃げるかもしれないし、不意に殴られるかもしれない。最大限の警戒をしながら周りに助けを求めようとした。しかし、相変わらず誰もいない。

 

警察を呼ぼうにも携帯を持ってきていない。

  

どうしようかと思案していると、明かりが付いている飲食店が目に留まった。

 

「あそこで助けを求めよう」

 

俺は泥棒を引き連れて飲食店の中に入った。

  

近くの飲食店に助けを求める

「ガラガラガラ」と引き戸を引くと、そこは町の中華屋さんだった。店内には家族連れの客が1組だけ、6人掛けのテーブル席で夕飯を食べている。

  

厨房からは店主っぽいおじさんがこちらをキョトンとした顔で見ている。

 

「すみません、警察を呼んでください。コイツ、泥棒なんです。」

  

いきなりコイツは何を言っているんだという感じだが、今の俺にはどうやって警察を呼ぶかで頭がいっぱいだった。

 

対応してくれた女将さんが、警察を呼んでくれて、とりあえず俺と泥棒は奥の座敷へ移動した。

  

その間も泥棒は大人しくしていたが、観念したように見せかけて逃げ出すのかもしれなかったので、俺は出口側に陣取って泥棒が逃げないように見張った。

 

すると、すぐに店の外で赤色灯がチカチカとするのが目に入った。

  

警察到着

警察が到着して、俺と泥棒を見比べる。薄着に裸足姿の俺と、普通の恰好の泥棒。

 

一般人が見たら俺の方が不審者なんだけど、女将さんはちゃんと状況を説明してくれたようで、俺が泥棒に間違われることはなかった。

 

まずは泥棒がパトカーに乗せられて行き、俺も事情聴取の為警察署へ向かうという。

 

外に出ると、アスファルトの上の砂利が素足に食い込んで痛かった。そして寒い。

 

追いかけている時は何も感じなかったのに、必死になった人間って凄いパワーが出るんだなと自分で感心した。

 

「防寒着を取りに家に一回帰らせてほしい。」

 

それに、自宅に残したツマの事も心配だ。

 

警察署に向かう前に、パトカーでアパートに一度戻ることになった。

 

現場検証

アパートに着くと、家の前にはパトカーが2台、赤色灯を回転させて停まっていた。

 

妻は泥棒と俺が家を飛び出した後、直ぐに通報してくれたようで、警察の到着が早かったのはこのおかげだったのだろう。

  

家の中ではドラマでよく見る鑑識班が何やら四角いものを置いている。

 

犯人の足跡、いわゆる「ゲソ痕」を回収する作業をしているのだ。かっこいい。

 

状況はツマが女性警察官の方に話していたみたいで、直ぐに現場検証が始まった。

 

いつ犯人を、どんなシチュエーションで見たのか。犯人が何をしていたのか。犯人をどうやって追いかけたのか。

 

まるで再現VTRを撮るように、シーンを再現していき、その様子を写真に収めていく。

 

一通り現場検証が終わると、供述調書作成のため、俺と妻は一緒に警察署に向かうこととなった。

  

警察署で事情聴取

パトカーに乗ったのは先ほどの婦人警官と、20代後半の若手男性警官だった。

 

二人とも軽い感じで声をかけてくるの気遣いがうれしかった。

  

警察署に到着すると、俺とツマは別々の部屋で供述調書の作成に協力した。

 

俺が泥棒を捕まえたのはいわゆる「私人逮捕」で、現行犯逮捕のため、48時間以内に書類を作ったり色々な手続きをしなければならないらしい。

 

なので、もう夜だからまた明日。という訳にはいかないらしい。

  

そこからは、さっきの現場検証の時みたいに、泥棒との出会いから別れまでのストーリーを俺が話し、警察官がそれを書き起こして「供述調書」として残すのだが、この作業が結構めんどくさい。

  

最初は詳細に話しをするんだけど、あまりにも時間が長いので途中からダレてくる。

そうすると、警察官も「こういうことですかね?」と聞いてくるので。「そんな感じでした。」という受け答えになってくる。

  

2時間ぐらいかけてやっと供述調書がまとまって、その案を上司に見せるみたいなんだけど、なんか変なところがあったみたいで担当の人怒られてた(笑)

 

適当に答えてごめんなさい。

   

解放は深夜

供述調書の作成が終わり、アパートまではもちろんパトカーで送ってくれた。家に着いたのはもう深夜0時を回っていた。

 

翌日にも予定があったのですぐに寝ようとしたんだけど、中々寝付けなかったのは無理もないことだった。

  

弁護士との示談金交渉

後日、泥棒の弁護士から電話がかかってきた。

 

弁護士曰く、

・泥棒大変反省している。

・泥棒にも家庭がある。

・50万円で許してほしい。

とのことだった。

  

示談の話が来るとは予想していたし、示談金の額も相場はリサーチ済みだ

 

しかし、今回の泥棒は下着泥棒、つまり色情魔なので、やはり通常のコソ泥とはわけが違う。

 

ここで50万円の示談金をもらってしまうと、あれだけ懸命に捜査してくれた警察の皆さんの努力が無駄になってしまうんじゃないかとも思った。俺はいったん保留にして考えた。

 

結論として、下着泥棒に狙われた家から引っ越す費用などとして、100万円を弁護士に要求した。

   

後日、弁護士から改めて電話があり、100万円の示談金で応じるので、覚書を締結したいと連絡があった。

 

覚書の締結は弁護士の事務所で行われ、内容の確認と押印で10分もかからなかったと思う。

 

ちなみに覚書の内容は次のとおり

・泥棒は100万円支払う

・泥棒は今後一切アパートの周りに近づかない

 

俺はその場で現金100万円が入った封筒を預かり、弁護士事務所を後にした。

  

起訴

後日談になるのだが、泥棒が起訴されたと検察から書面で連絡があった。

 

そういえば覚書の締結の際に、被害届の取り下げは要求されなかったし、すっかりそんなことも忘れていた。

 

あの泥棒は前科がつかないまま世の中に出るんだろうなと漠然と思っていたが、結果は違った。

 

どうやらあの下着泥棒は他にもたくさん同様の罪を犯しているらしく、そこらへんが考慮されたようだ。

 

刑事事件では起訴されれば99%有罪になるらしいので、あの下着泥棒はきっと仕事も家庭も失ってしまったのだろう。

  

そんな事を思いながら布団に入ると、やっぱり中々寝付けない。

 

ちょっとした物音で目を覚ますようになってしまったのは、アイツが仕返しに来るかもしれないという恐怖心からだ。

 

あれから5年経った今では、下着は外干しするのを避けている。

  • この記事を書いた人

ジェームス

元公務員。既婚。ファイナンシャルプランナー。新人ユーチューバー。2024年6月「デイリーフォース」開設。23年にオヤジが突然の末期癌で死亡。時間は意外と短いことに気が付かされる。趣味は登山と野球。

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