今回は株式会社アドラブル代表で、妊娠中に書いたブログが反響を呼び、コンサル依頼が増え、現在は子ども2人を育てながら年商4億円を稼ぐ「小田桐あさみ」先生の書かれた、「女子とお金のリアル」について解説していく。
この本は一言でいうと、「女性が自分らしく生きる方法」を教えてくれる本だ。
男女平等が叫ばれる現代においても、女性は家庭に入って旦那を支え、育児を行い、家庭を守らなければならないという考え方は根強い。
著者である小田桐先生自身もそういった考え方の持ち主だったが、どん底の極貧生活から脱却し、借金を返す過程で少しずつ考え方が変わった。
自分がワクワクすることについて我慢しないこと、成りたい自分を諦めなかったことで、現在はシッターに子どもをほぼ100%見てもらいながら、自分はやりたい仕事に注力する毎日を送っているそうだ。
本著を通して、女性がとらわれがちな考え方を捨てて、自分らしく生きるヒントについて学ぶことができるだろう。
日本の女性は「呪い」にかかっている
著者の小田桐先生は、厳しい家庭環境の下で育ったが、十代の頃に出会った男性と駆け落ち同然の恋愛の末、極貧生活を経験した。
彼氏は働かず毎日のようにパチンコ三昧で、借金を肩代わりする生活を送っていたそうだ。
そんな生活苦の中でも著者は、「女性は男性を支えるべき」といった自分以外の誰かを支えなければならないという、古い日本の価値観にとらわれていたという。
確かに、「倹約家で、節約が上手で、男性を立てる女性」というのは、男性に好まれる女性像であるが、その自己犠牲ありきの価値観を著者は「呪い」と表現している。
女性に対する偏見は男性だけではない
そういった「呪い」ともいえる価値観の持ち主は何も男性だけではない。
例えば、子どもが熱を出して休んでしまった時に、真っ先に連絡がいくのは母親である。
また、女性が育児休業を取る際に、いやな顔をするのは大抵他の女性職員だ。
女性職員が育児休業を取った時に、ちゃんと人員確保できている企業であれば問題ないが、抜けた職員の業務のしわ寄せが他の職員に押し寄せることになる。
男性は「育休は女性が取って当然」と思っているからまだいいが、逆に女性にとっては「勝手に休まれて迷惑だ」という感情を持つ女性は少なくない。
著者の勤めていた会社でも、若手の男性職員が「子どもが熱を出したので休みます」と言って病院に行った際に、「奥さんは何をしているの?」などという言葉が飛び交っていたそうだ。
このように、女性に対する古い価値観の持ち主は何も男性だけでなく、むしろ女性だからこそ「女性ならして当然」という考え方があると著者は痛感したんだ。
自分が価値を感じるものにお金を使うべき
何でもかんでも倹約をすることが何も正義ではない。
例えば、たった10円卵が安いというなだけで、わざわざ遠くのスーパーに自転車で買い物に行くのは、本当に節約といえるのだろうか。
そのスーパーまで行って帰ってくる時間や労力を、他の何かに充てることで10円以上の価値を生み出す事は難しくないはずだ。
また、マグカップを100均のダサいデザインのものにするより、自分が気に入った見た目で1,000円のマグカップを使う方が、結果的に毎日を幸せな気分で過ごすことができる。
大事なのは金額ではなく、「自分が感じる価値でお金を使うべき」だし、「自分が気分よく毎日を過ごすため」にお金を使うことの価値を私たちはもっと知るべきなんだ。
倹約は素晴らしいという価値観を捨てる
節約や貯金をしたからといってお金持ちになれるわけではない。
エアコンを使わなかったり、電化製品を使っていない時にコンセントを抜くといった節約をしたところでたかが知れているだろう。
そんなことに頭や時間を使うくらいなら、その時間をお金を稼ぐために使った方がいい。
そもそもなぜ節約は素晴らしいと思うのかというと、それは「自分で稼ぐことはできないと思い込んでいる」からだ。
自分はコレ以上収入があがらない、あげられない、だから唯一お金を残すことのできる節約を一生懸命頑張るわけだ。
また、そういう人は節制しすぎることで自分の成長や体験などのお金も絞ってしまうことが多い。
そうするとますます稼げない自分になっていくんだ。
自分が豊かな気持ちになれることにお金を使う
ではどうすればよいのかというと、自分が価値があると感じるものにはお金を大胆に使うことが大事だと著者は語っている。
お金を使って自分が心底幸せになれれば、「また稼ごう!」「もっと稼ごう!」「お金は素晴らしいものだ」といった前向きな気持ちが生まれるからだ。
こうやってお金を気持ちよく使えるようになると自分の機嫌も良くなる。
そうして、上機嫌になれると、さらに仕事を頑張れるし、人とつながりやすくもなるんだ。
例えば、好きなネックレスや指輪を買ったり、スーパーでちょっといい調味料を買ってみたり、iphoneの新作を買ったり、気に入ったマンションに住んでみることだ。
もちろん何に豊かさを感じるのかは人それぞれ違う。
大事なのは他人がどう思うのかではなく、「自分が豊かな気持ちになれることにお金を使うこと」だ。
見た目にお金をかけるとリターンが増える
著者の小田桐先生は、本書の中で「見た目にお金をかけるとリターンが増える」と語っている。
これは、見た目にお金をかけて自分を大切に扱っていることが相手に伝わると、相手からも大切に扱われるからだ。
実際に著者はあえてハイブランドの服を身に着けることで、レストランでいい席に案内してもらえたり、タクシーの運転手さんがいつもより親切だったりして周りからの扱いが目に見えて変わってきたそうだ。
時短アイテムにお金をかける
見た目以外にも積極的にお金を投資する選択肢として、時間の短縮につながるものを挙げている。
作り出した時間を自分のしたいことに使えば、幸せな気分になることができるからだ。
例えば洗濯乾燥機、食洗器、調理器具、ロボット掃除機、パソコンなどの手間や時間を短縮できる家電などになる。
こういう時短グッズは多少無理してでも買っておいた方がいいアイテムになる。
心で感じた自分の欲望を紙に書き出す事
お金の使い方が決まったら、次はお金を稼ぐ方法について説明をしていく。
ここでまず大事なのは、「心で感じた自分の欲望を紙に書き出す事」だ。
これは、自分が将来どうなりたいのかがわからないと今の自分の行動も決まってこないからだ。
実際に将来結婚したいのか、子どもが欲しいのかがはっきりしないと今何をするべきなのかもわからないだろう。
実際に著者が実践していたのは手帳に自分の欲望を書き出す事だったそうだ。
そうして著者が自分の欲望を書いたことなど忘れて生活を送っていたある日、思い出して手帳を見返してみると、たくさんの項目が叶っていたそうだ。
この時に著者は自分の欲望を紙に書き出すことの威力について知ったという。
実際にこの本では「言語化というのは一番初めの具現化であり、言語化すらできないフワっとした理想は叶えるのが難しい」と書かれている。
書くことで人は初めて自分のことを自己認識ができるのだ。
逆に言うと、書かなければ人は自分が何を思っているのかをはっきり理解することができないんだ。
欲望を書くときは、頭で冷静に考えていいと思うものよりも心がワクワクするような欲望を書くことだ。
「よくわからないけどなんとなく素敵」
「こんな風に生きたい」
といった欲望を書くのがベストだ。
会社に頼らず自分の資産を作る
今ではどんな人でも資産を持つ機会が増えている。
それがブログの記事やSNS、YOUTUBEなどが代表的なものだ。
労働所得だけでなく、自分の資産を持っている人は寝ていてもお金が入ってくるからお金持ちになりやすいんだ。
実際にこの著者の場合は妊娠中にブログを書いたことがきっかけで恋愛相談につながり、セミナーや講座開催、本の出版という形でかえってきたという。
これができたのは、まず最初にブログという自分が寝ていてもたくさんの人に読んでもらうことのできる資産を作ることができたからだろう。
こうやって自分が好きな事、得意なことを通して、他の人を少しだけ幸せにすることができれば、一気にお金持ちへの突破口が開かれるというわけだ。
会社員はちょっとえらい奴隷だ
著者はこの本の中で、会社員のことを「ちょっとえらい奴隷」と書いている。
というのは、私たちが古代ピラミッドを作っていた奴隷たちを可哀そうだと思うように、会社員も経営者が作りたいと思い描いた夢やビジョンを叶えるために給料を与えられて、来る日も来る日も働いているわけだからだ。
とはいえ、会社員にも良い部分がある。
会社がつぶれても責任をとることはないし、会社が指示したことだけやればいいし、設備や従業員を勝手に揃えてくれるから夢が無くても働ける。
あなたが嫉妬する人達から学ぶ
嫉妬というのは基本的に「自分もできるかもしれない」と思うときに感じる感情だ。
大谷翔平がいくら活躍してお金を稼いでも嫉妬の対象になり得ないように、嫉妬できるものは、嫉妬できないものよりもなれる可能性が高いんだ。
そして誰に嫉妬するかは人それぞれだ。
「自分より簡単に稼いでずるい!」と思う人というのは、自分が普段やっていて苦労なくできることで大金を稼いでいる可能性が高いんだ。
要は、自分もできそうだと思えるから嫉妬するわけだ。
といことは、嫉妬できる人がいるということは、その人を批判するのではなく真似をしてみたり、可能であれば教えてもらった方がいいということになる。
逆に絶対にやってはいけないのは「大変そうだなぁ」と思うことでお金を稼いでいる人を目指すことだ。
大変そうだと思うことは自分に向いていないことであり、毎日継続することができない可能性が高い。
継続するには、自分に向いていて需要があって、毎日やっても飽きないようなものを選ぶのが大事になるんだ。
それを見つけるヒントとして、嫉妬する人を探してみると良いだろう。
完璧を目指すよりまず終わらせろ
いざブログや動画をアップするときに、ついつい完璧にしてから出してしまう人がいる。
しかしそれだといつまで経っても出せないし、そのうち熱も冷めてきて「もう出さなくてもいいか」となる。
そんなことをいつまでもしていたらいつまで経っても上達しなくなってしまう。
実際にMetaの経営者である「マークザッカーバーグ」の名言に「完璧を目指すよりまず終わらせろ」というものがある。
この本でも「未完成でもいいから出す。これに尽きる。」と書かれている。
実際に著者の場合はしゃべりがうまくなりたいからという理由で練習だと思ってユーチューバーを始めたそうだ。
質問者から、どうしてそんなにすぐに質問に返事ができるのかと尋ねられた際には、7年くらいやると誰でも質問に答えられるようになると語っている。
このようにユーチューブを始める際には、上達してからではなく、その過程を発信するという感覚で始めるのがいいだろう。
書評
まずはじめに断っておくと、僕はこの本に書いてあることを全て鵜呑みにして行動してもらいたくはないと思っている。
著者には申し訳ないが、本書で語られている内容は「ポジショントーク」というのが第一感想だ。
「自分はこういうやり方で成功した」、だから「あなたも同じやり方で成功する」というわけではない。
本書で最も大事な内容は、「女の人の幸せってこんなだよね」という呪いを振り払い、「自分のなりたい本当の自分」をしっかりと見据えて、とりあえずそこに向かって一歩を踏み出すということだ。
著者の凄いところは、どん底の状況から自分を見つめなおし、転職7回という通常では考えられない行動力(誉め言葉)を示した結果、「自分が輝ける場所」を見つけたからである。この行動力は見習うべきところだ。
僕たちはやりたいことがたくさんあるにもかかわらず「どうせできない」とか、「やっても無駄だ」という負け犬根性が染みついてしまっているため、「理想の自分」というものを持っていたとしても、一向にそこへ足を踏み出そうとしないのだ。
失敗を恐れずに「まずやってみる」ということを実践したものだけに、「なりたい自分になる」挑戦権が与えられるんだと思う。